ELLEGARDENとの出会い──あの夜が、すべての始まり

T Design Co.


私TK4が初めて「プレゼン」というものを経験した相手は、ELLEGARDENでした。
当時の私は入社してまだ1ヶ月。デザインの知識も経験もほとんどなく、そもそも上司すらいない状態。
今振り返っても、どう考えても無茶苦茶な状況です。

そんな中、ある日突然営業に「TK4、飲みに行くぞ!」と呼び出され、ライトバンに押し込まれました。
学生あがりの私は「どこまで飲みに行くんだろう?」なんて呑気に思いながら高速道路を走る車内に揺られていました。

でも次第に見慣れた風景が過ぎ、ついには自分の家すら通り越し、気づけば千葉県に突入。
「……え?どこ行くの?」と心の中はざわつきはじめ、着いた先で突然言われたのが――



……え?なにを?誰に?どうして???

思考は真っ白、いや真っ青でした。

そこで初めて目の前にいたのが、ELLEGARDENでした。


知名度は当時そこまで高くはなかったものの、既に海外進出も視野に入れて動いている状況で、現場はピリピリ。
その場にいた全員がプロフェッショナルの目をしていて、空気の一つ一つが重たかったのを覚えています。

ただ、プレゼン内容そのものは、驚くほど何も覚えていません。
唯一、後ろで流れていたWEEZERの音だけが、記憶の底にずっと残っています。
それが私の、デザインの現場というものへの初対面でした。

後日、別件でELLEGARDENを担当していたデザイナーのKINGさんに頭を下げ、
DVD『Doggy Bags』のプロジェクトに参加させていただくことになりました。
いろんな想いが交差していた時期です。


正直、羨ましいと思う人もいるでしょう。

でも、内実を知る人なら「可哀想に……」と苦笑するかもしれない。

それほどに、自分でも無謀だったと思うし、実際、無謀でした。

でも今思えば、あの瞬間が私の土台をつくってくれたように思います。

デザインというのは「かっこいいものを作る」以上のものです。
そこには、クライアントの想い、立場、戦略、状況、そして人生がかかっている。
時に生きるか死ぬかのような緊迫感が、現場には流れている。

私にとってそれは、今でもデザインをする時に必ず蘇ってくる原体験です。
もちろん、もうあんな状況は二度と訪れてほしくないと願っているけれど、
それでも「いつでも準備はできている」と、自分を奮い立たせる力になっています。


本当はもう少し段階を踏んで、もっと経験を積んでから挑戦したかった。
けれど、それも贅沢な悩みなのでしょう。
あの時、確実に何かが自分の中に埋め込まれた感覚がある。
それは言葉にしがたいけれど、確実に今の自分の芯になっています。


変な出会い方だったかもしれないけれど、私はあの瞬間、作り手の一員だった。
そしてそれが、今のTK4DESIGNの原点になっています。


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